第27章

「木下社長、これは、いったい……」島宮徳安は言葉に詰まり、何を言えばいいのか全くわからなかった。

彼のへつらいに満ちた顔には、今や驚きと困惑が浮かんでいた。

木下逸夫は冷たく彼に一瞥をくれただけで、相手にせず、真っすぐに島宮奈々未の前へと歩み寄った。

「愚息が無知で、島宮さんに失礼を働きました。父親として責任を感じております」

「今日、わざわざ参りましたのは、息子に代わって謝罪するためです。どうか大人の寛容さで許していただけないでしょうか」

木下逸夫の態度は誠実で、言葉遣いは謙虚で、以前の高慢な姿勢は微塵も見られなかった。

島宮奈々未は静かに彼を見つめ、その眼差しは依然として冷た...

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